【名著】老子 |「頑張らない」を極めよう 〜最弱ゆえに最強。令和を生き抜く「水の思想」〜
Summary
TLDR本動画では、古代中国の思想家老子の教えを紹介し、現代社会に生きる人々に深く共感を呼ぶメッセージを提供します。老子は余計な欲望や知識を捨て、自然に従って生きることを提唱しました。特に組織をマネジメントする立場にある方や、柔軟な発想力を磨きたい方に向けて、争いを避け、穏やかな生き方を模索する術を示します。老子の思想は自然科学的な視点から万物の根源に迫り、熾烈な競争社会を生き抜くための統治理論を展開します。また、彼の言説は国家のコンパクトさや人間関係の簡素さを重視し、争いのない社会を実現するためのアイデアを提供します。老子の教えは、現代の消費社会で欲望を抑制し、自然な生き方を取り戻すためのヒントとしても機能します。水のような生き方を提唱し、柔軟性と強さを結びつけ、人生のあらゆる場面で応用可能な思想を展開しています。
Takeaways
- 📖 老子の思想は、余計な欲望や知識を捨て去り、自然に従って生きることを提案しています。
- 🌱 「道」とは、万物の根源であり形や名前を持たない超感覚的な存在です。
- 🔄 無為自然とは、無理に事を行わず、自然の流れに任せる生き方を意味します。
- 🏞️ 小国華民は、小さなコミュニティや国を通じて理想郷を築く考え方を示しています。
- 👤 最も理想的なリーダーは、存在を意識されずに民の自主性を引き出すことができる人物です。
- 📉 欲望を追求することの無限ループから抜け出すためには、自分の欲望を知り、適量を理解することが重要です。
- 🚫 学問や武力を含め、過剰な力は反対に弊害をもたらすと老子は考えました。
- 💧 水のような生き方は、謙虚でありながら障害を乗り越える強さを持つことを示しています。
- 🛡️ 社会や文明の発展においても、過度の干渉や保護はかえって悪影響を及ぼすことがあると警鐘を鳴らしています。
- 🌟 人間は自分の能力や状況を客観的に評価することが難しいが、それに成功する人物が真に優れた人物であるとされます。
Q & A
老子の思想書「道徳経」の主な教えは何ですか?
-老子の思想書「道徳経」は、余計な欲望や知識を捨て去り、ありのままに生きることを提唱する古典的名著です。特に組織をマネジメントする立場にある方や、柔軟な発想力を磨きたい方に適した生き方について述べています。
老子が提唱する「無為自然」とは何を意味しますか?
-「無為自然」とは、無理に物事を動かそうとするのではなく、あるがまま自然のままに任せることを意味します。無為は何もしないことではなく、作為的なことをしないことが重要です。自然とは、人為的に操作されたものではなく、自然の法則によって支配されている状態を指しています。
老子が理想とする社会「小国寡民」とはどのような社会ですか?
-「小国寡民」は老子が説いた理想郷で、住民の数が少ない小さな国家を指します。老子は国家のサイズをコンパクトにし、人間が使用する道具も必要最低限に、地域間での交流も避けるべきだと主張しました。余計な刺激を受けることなく、心豊かにつつましく暮らせば、争いのない理想郷が生まれるのではないかと考えました。
老子が提唱する「水のような生き方」とは何ですか?
-「水のような生き方」とは、水が持つ柔軟性や謙虚さ、またそれが持つ潜在的な力から学ぶ生き方を指します。水は自己主張をせず、他者と争わず、障害物があればそこを避けて通り、重力に従って流れて行く性質があります。老子は、人間もこのような姿勢で生きることが理想的だと述べています。
老子の思想はなぜ現代人に訴求力があると言えるのですか?
-老子の思想は、現代の変化の激しい社会において、柔軟で適応的な生き方を促します。また、欲望や知識を捨てることにより、余計な悩みを減らすことができると提案しています。情報騒然とストレスを抱える現代社会において、老子の考え方は、精神的な拠り所となり得ると言えるでしょう。
老子が提唱するリーダーシップとはどのようなものでしょうか?
-老子が提唱するリーダーシップは、部下から意識されない指導者であり、悠然とした態度を持ち、余計なことを口に出さないことです。また、リーダーは個々の人の自主性を尊重し、自然と発動されるような緩やかな統治を進めることが求められます。
老子の思想が持つ現代的な価値とは何ですか?
-老子の思想は、現代社会においてもなお価値があるとされています。特に、無為自然の生き方、小国寡民による社会的連携、水のような柔軟性や謙虚さなどから、人間が争いのない社会を築くための考え方を提供しています。また、個人の欲望と知識の節制、そして自己の客観的な評価の重要性など、現代人にとっても重要なメッセージを含んでいます。
老子が述べる「道」とは何を表しているのですか?
-老子が述べる「道」とは、万物の根源であり、元々名前もないが、天地万物が存在する以前に存在する絶対的な秩序や原理を指しています。老子の思想では、道に従って生きることが人間の理想的な生き方であるとされています。
老子の思想はどのようにして社会を安定させることができると思いますか?
-老子の思想では、社会を安定させるためには、人々が無知無欲である状態に戻ることが重要です。また、リーダーシップにおいては、無為の統治を通じて個々の人の自主性を尊重し、自然と発動されるような緩やかな統治を行うことが求められます。これにより、社会全体が調和し、安定し続けることができると老子は考えていました。
老子の思想を実践するためには、どのような態度を持つことが大切ですか?
-老子の思想を実践するためには、自己の欲望を抑制し、節制を持つことが大切です。また、他人に対しては謙虚で、自然の流れに従って生きることが求められます。さらに、自己を客観的に評価し、適切な引き際を見極めることが重要です。老子の思想は、人間が争いや煩悩から解放されるために必要な態度や行動を教えてくれます。
老子の思想は、現代のビジネスリーダーシップにも適用できますか?
-はい、老子の思想は現代のビジネスリーダーシップにも適用できます。特に、リーダーが部下の自主性を尊重し、自然と発動されるような緩やかな指導を行うことが求められる点は、現代の組織マネジメントにも適用できます。また、無為自然の生き方や、水のような柔軟性や謙虚さを大切にする考え方も、ビジネスの世界で重要な価値観となるでしょう。
Outlines
📜 老子の紹介と背景
老子は古代中国の思想書で、余計な欲望や知識を捨て、自然に生きることを提唱する古典的名著です。組織をマネジメントする立場にある方や、柔軟な発想力を磨きたい方におすすめの書です。老子は自然科学的な視点から万物の根源に迫り、競争社会での生き方を示す統理論が含まれています。老子の生誕や人物像は不明な点が多く、春秋時代末から戦国時代の初めの紀元前5世紀頃に活躍したとされています。
🌐 道と無為自然の概念
老子の思想では、道(タオ)と無為自然という概念が重要です。道は万物より先に存在し、形や言葉で表現できない絶対的な秩序を表します。無為自然は、無理なく自然のままに任せる生き方を指し、人間も自然の一部としてその法則を受け入れるべきだと老子は述べています。また、儒教と違い、老子の道は超感覚的な実在であり、人間的な礼儀や作法とは無関係です。
🏞️ 小国寡民の理想郷
老子は小国寡民、つまり小さな国家を理想とする思想を持ちました。国家のサイズをコンパクトにし、必要な道具や情報だけを持つことが、人間の欲望を刺激しないで争いを避ける手段だと主張しました。老子は、余計な財産や道具、情報、人との交わりが争いを引き起こすと考え、小さなコミュニティを作ることで争いのない理想郷を実現したいと考えていました。
🛣️ 道に従う者と欲望の抑制
老子は道に従う者について述べ、目的を果たすだけで、それ以上の無駄な強行策は取らないことが重要だとしました。人間は目的を果たしても満足しないで、更なる成果を求めることがあるが、老子は余計な頑張りは道から外れると警戒しています。また、自己顕示欲や傲慢な態度に対して厳しい見方を持ち、成功と呼ばれる無駄な行為を批判しました。
🧘♂️ 無為の統治とリーダーの姿
老子は無為の統治を提案し、リーダーが民衆を無知無欲にすべきだと主張しました。これは民を愚かにする愚民政策と捉えることもできますが、老子は本来の姿に戻ることで争いのない平和な国家を目指していました。また、老子は大国を小さな魚のように扱い、過剰な干渉は混乱を招くと警告しました。理想的なリーダーは部下から意識されない存在であり、悠然とした態度で仕事が行えるようにすべきだと述べています。
💧 水のような生き方
老子は水のような生き方を理想としました。水は他者と争わず、障害物があれば避けて通過し、重力に従って流れる柔軟性を持つとされています。水は汚れにも文句を言わず、万物に恩恵を与えながらも傲り高ぶらない姿が老子に高く評価されました。また、水のように柔軟で変幻自在な生き方を心がけることで、人生のあらゆる場面で成功が期待できると老子は教えてくれます。
🌱 才能と欲望、老子の生き方
老子は才能があることを喜ばしいとせず、才能が身を苦しめる場合があると警戒しました。彼は自然の姿勢を重んじ、柔軟性と謙虚さを提唱しました。老子の思想は現代社会でも有効な思考方式であり、変化の激しい現代に生きるための有効な参考になるでしょう。老子の教えは、欲望を抑制し、自然な生き方を心がけることで、人生を豊かにすることができると示しています。
Mindmap
Keywords
💡老子
💡道(タオ)
💡無為自然
💡小国寡民
💡水の思想
💡赤子
💡自然
💡権力
💡争い
💡自己顕示欲
💡謙虚
Highlights
老子は余計な欲望や知識を捨て去り、ありのままに生きることを提唱した古典的名著を紹介
組織をマネジメントする立場にある方や柔軟な発想力を磨きたい方におすすめの書
論語とは対照的に、老子の書は牧歌的でゆるい雰囲気が漂っている
自然科学的な視点から万物の根源に迫り、競争社会を生き抜く術を示す
老子の生誕や人物像については不明点が多いが、春秋時代末から戦国時代初めの紀元前5世紀頃に活動したとされる
老子は国も仕事を辞めて、西の方角へと旅に出、道徳経を書き上げた
道(タオ)という概念を老子は天地万物が存在する以前に存在する根源的な筋道、秩序として語る
無為自然は無理に物事を動かそうとするのではなく、自然のままに任せることを提唱
老子は儒教の厳格な身分制度に対抗して、道に従うべきと主張
小国過敏は老子が説いた理想郷で、住民の数が少ない小さな国家を目指す考え方
老子の思想は、形式ばった儒教の教えや社会に疲れた人々の精神的な拠り所として発展
道に従う人とは目的を果たすだけであり、それ以上の無駄な強行策は取らない
老子は自己顕示欲や傲慢な態度に厳しい見方を、成功は無用の行為だと批判
知識や学問を余計なものと見なす老子は、余計な知識を捨てることで本来の自然な生き方を取り戻す考えを示す
老子は無為の血と呼ばれる新しい統治方法を提案し、徹底的に無駄を排除することで社会を安定させる
理想的なリーダーは部下から意識されない指導者であり、悠然とした態度で仕事がうまくいく
老子は水のような生き方を理想とし、万に恩恵を与えながら相手に逆らわない柔らかさを提唱
水は脆弱でありながらも驚異的な力を持つ、柔らかくて弱い存在が強いものに勝るという老子の死生観
老子は才能や見栄を他人から評価せず、自分にとっての適量を知ることが大切だと語る
Transcripts
はいどうもあわたろうです本日は古代中国
の思想書
老子を紹介いたしますどんな作品かと言い
ますと
余計な欲望や知識を捨て去りありのままに
生きることを提唱した
古典的名著です特に
組織をマネジメントする立場にある方
期待通りの成果や評価が得られないと悩ん
でいる方
柔軟な発想力を磨きたい方自分の欠点や
弱みが気になって仕方がない方無理をせず
気楽に生きる方法を模索している方にぜひ
手に取っていただきたい一冊です
論語とは対照的に
牧歌的でどこかゆるい雰囲気が漂っている
老師しかしこの書物は単なるヨステ人の
指南書でもなければ簡単に理解できるよう
な実用書でもありません自然科学的な視点
から
万物の根源に迫りその上で
熾烈な競争社会を生き抜く術や
争いの絶えない世の中をまとめ上げるため
の統治理論が示された
大変ダイナミックな思想書それが老子です
今回はそんな巨大なスケールで描かれた
本作を
歴史的な背景と絡めながらわかりやすく
紹介してまいりますご視聴にあたって予備
知識は特にいりませんのでお茶でも飲み
ながらリラックスしてどうぞ最後までお
付き合いくださいそれでは参りましょう
労使さあまずはこの動画の全体像からを
示しいたしますはじめに背景知識として
老子の人物像について簡単に紹介しその後
本書の内容を道に従う人道から外れる人
最も理想的なリーダー水のような生き方と
いう3つのテーマに沿って進めてまいり
ますさあでは早速背景知識から見ていき
ましょう
老師彼の生誕や人物像については不明な点
が多いのですが一説によれば
春秋時代末から戦国時代の初めの
紀元前5世紀頃
古代中国の中央町で
図書を管理する役人として
働いていたと伝えられていますあるとき
中央町の衰退を悟った老師は国も仕事もし
て
牛の背中にまたがり西の方角へと旅に出
ました韓国館と呼ばれる関所に着くとそこ
の長官を務めていた
陰気という人物が現れこう言いました道徳
や人生それから社会のあり方についてぜひ
あなたの考えを聞かせてくださいすると
老師はしばらく関所にとどまり上下2篇
5000字余りの書物道徳共を書き上げ
ましたその思想書は後に彼自身の名前で
ある
老子というタイトルがつけられ世に広く
知られていくことになりますではこの書物
を読んでいくにあたっていくつかのキー
ワードを整理しておきたいと思いますまず
一つが道タオと呼ばれる概念についてです
老師は天地万物が存在する以前に天地の母
と呼ぶべき存在があると仮定しそれを道と
名付けました
儒教の始祖である
帽子も同様に道を説いていますがこれは
老子の言っている道とは全くの別物になり
ます前者は物事の規律や
礼節などを重んじるいわゆる実践道徳で
あるのに対し
労使が説いた道は人間の五感では捉えられ
ない超感覚的な実在のことを言いますそれ
は形を与えることも言葉で表現することも
できない絶対的なものでこの天地万物より
も先に存在していた
根源的な筋道
秩序そのものを表していますその上で老師
は道に従って生きることこそ人としての
理想的なあり方ではないかと考えたのです
とはいえそんな
抽象的で難しい概念に従いましょうと言わ
れても正直どうすればいいのかよくわかり
ませんそこで労使は道に従って生きる上で
の基本スタンスをある言葉によって
端的に示しましたそれが2つ目のキー
ワード無為自然です無為自然とは無理に
物事を動かそうとするのではなくあるが
まま自然のままに任せることを言います
無為というのは何もしないことではなく
作為的なことをしないこと一方自然とは山
や川といった自然物のことではなく
おのずからしかりすなわち他から何の影響
も受けることがない状態のことを意味して
います例えば
春夏秋冬といった季節の変化
川の流れや
潮の満ち引き月や太陽などの天体の動き
これらは人為的に操作されたものではなく
大自然の法則によって支配されています
これと同様に私たち人間も自然の一部とし
てその
采配を受ける運命にあるため作為的なこと
をせずあるがままに生きることが大切だと
考えたのです当時中国は
儒教の教えが基盤にあり
礼儀作法や他者への思いやりなど道徳教育
を施すことで社会秩序を保っていました
しかし
老師はこうした作為的な家族や儀礼文化
などは人を偽善者にしたり堕落させたり
するので絶対的な秩序である道に従うべき
だと唱えましたまた儒教は
厳格な身分制度上下関係を前提とするため
それに適用できない人や社会的に弱い立場
にある人たちにとっては
精神的に辛いものであったようですその
ため老師の思想は形式ばった儒教の教えや
それを中心に構築された社会に
疲れきってしまった人の
精神的な拠り所として発展していきました
とはいえあらゆる人為的なものを否定して
しまえば文明を築くことも社会を安定さ
せることも困難でありあまり現実的では
ないようにも思いますでは労使にとって
これが理想だと言える社会とはいったい
どんな社会だったのでしょうかそれが3つ
目のキーワード小国過敏です小国華民とは
老子が説いた理想郷のことで住民の数が
少ない小さな国家のことを言います当時
中国は
乱世にあったため人口が多く
領土も広く生産力も軍事力も高い
巨大な国家が理想とされていましたそうし
た中老師は国家のサイズをコンパクトにし
人間が使用する道具も必要最低限にする
ことさらには地域間での交流も
避けるべきだと主張しました
余計な財産や
余計な道具
余計な情報や
余計な人との交わりこういったものがある
から人間の欲望は余計に刺激され自分たち
の生活や文化に満足できなくなりだから
余計な争いをし始めるのではないかだと
すればそれらを排除した小さな
コミュニティを作り
余計な刺激を受けることなく心豊かに
つつましく暮らせば
争いのない
理想郷が生まれるのではないかと考えた
わけですただ一説によれば
老子の説いた小国とは小さな
村落共同体のことでありそれを積み上げる
ことで
理想的な大国を築こうとしていたとも言わ
れています彼が生きていた時代は戦争が
日常的でありほとんどの人が
拳銃を全うすることができませんでした
こうした背景があったからこそ
労使は人間が争わず最後まで生き延び
られる社会を理想としそれを実現するため
のアイディアとして小国華民という言葉を
掲げたのです
ちなみにロシアの文具をトルストイは
老子の平和思想に影響を受け無抵抗主義や
非暴力運動を提唱それが後にインド独立の
父ガンディーに引き継がれることになり
ますつまり
非暴力不服従運動の潮流をたどっていくと
実は
老子という原点に到達するわけですさあ
背景知識は以上になりますここまで
よろしいでしょうかそれではいよいよ本編
に入っていきたいと思います一つ目の
テーマは道に従う人道から外れる人ですで
は行きましょうこれが道であると説明
できるような道は
ものの道ではないこれが名前だと呼べる
ような名前は本物の名前ではない道には
もともと名前はないがこれこそ万物の根源
でありそこから天地が生じ
万物が生まれたのであるはい心食べます道
とは万物の根源であり
元々名前もなければ説明できるような代物
でもないといった内容でしたそのため現
時点で道とはこういうものだとはっきりと
理解している必要はありません天地万物の
根源にありそれらを支配している
普遍的な実態あるいは
根本的な原理のようなものというように
ざっくりとイメージしていただければと
思いますさあでは続きを聞いてみましょう
道に従う者は目的を果たすだけである目的
を果たせばそれ以上の無駄な強行策を取ら
ない目的を果たせばそれ以上自分の
才能を誇ったり自慢をしたり強さを
見せつけたりしないのであるなるほどを道
に従う者は目的を果たすだけであるとあり
ました人間は何らかの目的を果たしても
なお心が満たされずそれ以上の成果を求め
たり
賞賛されようとしたりつい余計に頑張って
しまうことがありますしかし老師はそう
いった余計な頑張りは道から外れ帰って身
を滅ぼしかねないと考えました
歴史を振り返ってみても
十分すぎるほどの社会的
成功を手に入れた人物がさらに上を
目指そうとした結果体を壊したり
恨まれて失脚したりといった事例は数多く
存在していますまた中国古典にもいくつか
これと似たような教訓があります例えば
論語には
過ぎたる穴を
及ばざるが如しとあり行き過ぎることや
度が過ぎることは足りないことと同じ
くらい良くないことであると戒められてい
ますまた
兵法書である孫子にも
医師失血という言葉がありますこれは
敵をしたら
完全に退路を立つのではなく
必ず相手が
逃げられる道を作っておきなさいという
教えになります戦争を行う本来の目的とは
何なのかそれは
敵を滅亡させることではなく自国にとって
有利な講話を結ぶことになりますにも
かかわらずその目的を忘れ相手の逃げ道を
塞ぎ
徹底的に追い込んでしまえば思わぬ抵抗を
受け勝ったとしても
余計な被害を受けたり
余計な消耗をしたりするリスクが高くなり
ますそのため本来の目的を果たし終えたの
なら
欲望に従ってその先のものを得ようとする
のではなく一旦冷静になりこれ以上
突き進む大義が本当にあるのかと自問自答
してみる必要があると言えます
老師は道から外れた欲望に否定的でしたが
中でも自己顕示欲むき出しの傲慢な態度に
対しては特に厳しい見方をしており次の
ような言葉を残してい
つま先で立ち自分を大きく見せようとする
ものは長く立ち続けることができず大股で
歩き
焦って先を急ごうとする者は
遠くまで行くことができないこれと同じ
ように自分の行動を良しとするものは
かえって世の中から
遠ざけられ自分を正しいと言い張るものは
かえって正しいと認められず自分の才能を
過信するものはかえって長続きしないもの
であるはいここから止めますつい人は自分
を実力以上に大きく見せようと
余計な力が入ってしまうものですが
老師はこういった見せかけの行為をよし
成功と呼んで批判しましたよし成功とは
作りすぎて無駄になってしまったご馳走の
ことすなわち無用の行為を意味しています
財産が欲しい高い地位が欲しい名誉が
欲しいこういった自己顕示欲は時に人の
成長を促すエネルギーになりますしかしは
そういったものを原動力にしたところで
物事はうまくいかないし
仮にうまくいったとしても長続きするはず
がないとし自己顕示欲を無駄な贅肉として
容赦なく切り捨てましたさらに彼は学問や
知識さえも
余計なものとみなし
額を立てば憂いなしという有名な言葉を
残しました
余計な知識を捨て去ることができれば
余計な悩みがなくなり人間は本来の自然な
生き方を取り戻すことができると考えたの
です確かに知識はあるに越したことはあり
ませんがあればあるほど好ましいかといえ
ば
必ずしもそうではありません有り余る知識
によって行動することが怖くなったり
考え込みすぎて決定的なチャンスを
逃したりするのはよくあることです特に
現代は情報語り陥り不安やストレスを
抱え込みやすくなったと言われているため
老子の考えにハッとさせられたという方も
いるのではないでしょうか
さらに彼は文明の力や学問のみならず
武力や権力も不要とし無為の血と呼ばれる
新たな統治方法を提案
徹底的に無駄をそぎ落とすことで天下は
おのずとおさまると断言しましたここまで
きますとさすがに極端ではないかと思われ
ますがいったいそこにはどんな狙いがあっ
たのでしょうかさあというわけで2つ目の
テーマ最も理想的なリーダーに進んでいき
たいと思いますでは行きましょう
賢いものを尊重しなければ
民は争うことがなく
在価を貴重品としなければ
民は盗むことがなくなるまた欲望を
かき立てるようなものを見なければ
民の心は乱されない
従って
聖人が国を統治する場合は
民を無知無欲にすることであるはい心留め
ます今紹介したのは
老子の政治思想を
端的に示したパートになります要するに
トップにいる人間が特定の人ばかりを評価
したり特定のものばかりを
賛美したりすると
民衆はそれを求めて争うので一定の価値観
を示してはいけませんとその上で
民衆を無知無欲にし悪い知恵が働かない
よう
努めるべきであるというわけですこういっ
た老子の考え方は
民を愚かにするいわゆる
愚民政策として捉えることもできますが
一方で無知無欲であった人間本来の姿に
立ち返らせることで
争いのない平和な国家を再構築する狙いが
あったようにも思われますただ人民が無知
無欲になってしまえばその国は為政者の
思うままになり帰って世の中が乱れる恐れ
がありますこれに対し
労使はどう思っていたのか実はこんな言葉
を残しています大国を探るは
商船を煮るが如しこれは大きな国を治める
際には小魚を煮るようにするべきであると
いう意味になります要するに
を煮るとき下手にかき回したりつっつい
たりすると実が崩れてしまい食べられなく
なってしまいますとそれと同じように国の
政治もあれこれ上の人間が
干渉しすぎるとかえって民衆が混乱し
うまくいかなくなるというお話です
過干渉
過保護という言葉もあるように仕事にせよ
教育にせよ優位な立場にある人があれこれ
余計な口出しをしたせいで帰って本人の
成長が阻害されたり関係性にひびが入っ
たり悪い方向に向かうことはよくあるもの
ですその上で老師は次のように続けます
天下を取ろうと発信作為的な行動を取る
ものがいるがそんなことでは願いは成就し
ないだろうなぜなら天下とは神聖な器で
ありいろいろと企てたところでどうにも
ならないからだ何かをなそうと動く者は
かえって天下を壊し何かを捕まえようと
するんだろうは帰ってそれを失うだろう
はいここから貯めますつまり人民とは多様
性に富む神聖な器であるためそれを作為的
に扱っては
壊れてしまいますとあくまで為政者は道に
従った無為の統治を志すべきであるという
お話ですただここで気をつけなければなら
ないのは
老子が解いた無為の地は
リーダーの存在価値を否定するものでも
なければ単なる自由放任主義でもないと
いう点ですつまり彼は
リーダーが出しゃばらないことによって
個々人の自主性が自然と発動されるような
緩やかな統治を進めているのですその上で
労使は指導者の理想的な姿について次の
ように語ります世の中は禁止事項が多く
なればなるほど人民は貧しくなり
武器が多くなればなるほど国家はますます
混乱し
巧みな技術を持てば持つほど
邪悪なものが生まれていくゆえに聖人は
こういう私が何もしないと人民は自ずと
おさまる私が事を起こさないと人民は
自ずと豊かになる私が無欲であると人民は
自ずと素朴であると最も
理想的なリーダーとは部下から意識され
ない指導者のことであるその次は部下から
愛され親しまれるリーダーその次は部下
から
恐れられるリーダー最低なのは部下から
馬鹿にされるリーダーである指導者が悠然
とした態度を示し
余計なことを口に出さなければ仕事は
うまくいくものだそして人々は自分がやる
べくしてやったというのである
廃校だと思います最も理想的なリーダーと
は部下から意識されないとありました本当
にそんな人物が指導者で大丈夫なのかと
心配になってしまいますが部下から意識さ
れないというのはもちろん何もしないと
いうことではありません要するに人の見え
ないところで
恩恵を施したりトラブルを防いだりして
いる一方で勝算も浴びず感謝もされず
目立たずそれでも常に悠然と構えている
ような人物それこそが天下を治めるに
ふさわしい
成人であるというわけです
権力者は往々にして自分に従わないものを
排除したり強制したりするものですが
老子は人間の多様性を受け入れ自主性を
尊重することが道のあり方だと考えていた
のですさらに彼は
権力者が陥りがちな
欲望の罠について次のように語っています
器にいっぱいの水を注ぐように何事も
満たし続けることはやめたほうがいい
刃物を限界まで鋭くしようとすれば
かえって折れやすくなるだろうこれと同じ
ように
富も増えれば増えるほどそれを守らなけれ
ばならないと心配事が増え地位や名誉に
こだわればほど自分の身を滅ぼすことに
なる
従って自分の仕事を成し遂げたと思ったの
ならすぐに身を引きなさいそれこそが天の
道であるはいここから止めますどんな分野
であれ
有名になったり高い地位についたりする
ことは
極めて難しいことです中には自分にとって
大切な家族や友人
健康などを犠牲にし
命を削る思いでそれを手にした人もいる
はずですそのためやっとの思い出得た
ポジションを
捨てたくないできる限り長くとどまってい
たいと考えるのはある意味自然なことなの
かもしれませんしかし明確な引き際を
定めることなくダラダラと居座り続ければ
次の世代から恨まれたり思わぬ失敗をし
たりすることは
古来よくあることです今日においても経営
者
政治家などの著名人が問題を起こし
せっかくの業績を無にするほど
晩節を汚してしまったという事例は
枚挙に暇がありませんそのため老師は光明
を出したのなら自分はまだまだやれると
しがみつこうとするのではなく
潔く身を引くべきだと考えたのですでは
人間はこういった教訓を
歴史から学んでいながらなぜ引き際で失敗
してしまうことが多いのでしょうかその
理由は一度獲得したものを手放したくない
という欲望に負けてしまうということに
加えて自分自身を客観的に評価することが
難しいということが挙げられます自分の
能力体力
精神力見た目話し方
態度こういった要素がかつてと比べてどれ
ぐらい変化しているのかまたそれらが周囲
の人々や環境にどう受け入れられどんな
影響を与えているのかは自分ではなかなか
気づきにくいものです特に立場や年齢が
上がったり
権力が大きくなったりすれば周囲の人は
ますます気を使うようになり
正直なフィードバックを控えますそのため
世の権力者の中には自分はまだまだやれる
のではないかと判断し何らかの問題を
起こして
失脚するまで現役を続けるというケースが
少なくありませんその上で労使は本当に
優れている人物像について次のように語り
ます他人のことがわかるものは優れた人物
だが自分のことをよく分かっているものは
さらに優れた人物であるまた人に勝つもの
は力のある人物だが自分に勝つものは本当
に強い人物である
樽を知る者は富み努力を続ける者はすでに
志を果たし自分本来のあり方を失わない
ものは長く生き残ることができる
獲得と喪失は表裏一体の関係にあるため
たくさんのものを得ればその分だけ
たくさんのものを失うことになるだろうで
は人間にとって最も大切なとは何かそれは
自分の命である
命さえあればもう十分満足だそう思って
生きていれば長くこの世を楽しめるので
あるはいここから止めますなるほど
老子は自らを客観的に捉えることができ
なおかつ
欲望に支配されることなく自分を保てる
人物を高く評価していたようです人間は
自分の欲望が叶えられると一旦は満足し
ますがしばらくするとまた同じような気分
を味わいたいいや次はもっと大きなものを
手にしてもっといい気分に浸ってみたいと
さらに強い欲望に駆り立てられるものです
そこで老師はこうした欲望の無限ループ
から抜け出すヒントとしてあの有名な
樽を知るという考え方を生み出しました
つまり終わりのない欲望を100%
満たそうとするのではなく自分にとっての
適量が満たされていればもうこれで十分だ
と考え今の生活今の自分に満足しながら
幸せに暮らしましょうというわけですただ
現代は
欲望が刺激されやすい
消費社会にあるため自分が本当に求めて
いるものや自分にとっての適量が
捉えにくいという問題点がありますその
ため時には外界からの刺激を断ち今抱えて
いる欲望やその
背景にある感情について
じっくりと考える機会も必要なのかもしれ
ませんただそんな
隠遁者のようなあり方でこの
厳しい現実世界を本当に生き抜いていける
のかと心配になった方もいるのではない
でしょうかそこで次のパートではそんな
弱々しい老子のイメージを覆す
脆弱にして最強と謳われる水の思想につい
て見ていきますさあというわけで3つ目の
テーマ水のような生き方に進んでいきたい
と思いますでは行きましょう
理想は水のような生き方である水は万に
恩恵を与えながら相手に逆らわず人の嫌
がる
低いところに身を置いている世の中に水
より柔らかく
弱々しいものはないしかし
硬くて強いものを責めるには水より勝る
ものはないのだ
弱々しいものが帰って強いものに勝ち
柔らかなものがかえって業の者に勝つと
いうことは天下の誰もが知っているだが
それを実行する者は極めて少ない本当に
正しい言葉とは
常識とは反対のように聞こえるものだはい
ここから冷めます
老師は上善は水の如しという格言を残し水
を最上の善として称えました水は自己主張
をせず他者と争わず
障害物があればそこを避けて通り重力に
従って高いところから
低いところへと流れていきますどれだけ
汚れた湿地にたまっても文句も言わずどれ
だけ万物を潤し
恩恵を与えても決しておごることがない
そんな水のようなあり方こそ人としての
理想のあり方すなわち道のあり方であると
いうわけですさらに水は
脆弱な性質を持つ一方で
岩やコンクリートを砕き地形を変えて
しまうほど
驚異的な力を持っています重力業を制すと
いう言葉もあるように
脆弱だからこそかえって力を発揮できたり
良い成果が得られたりすることはよくある
ものです例えば人間関係においても正論を
振りかざし相手を理屈でねじ伏せようと
するよりもまずは相手の立場や考え感情
などを理解しようと
柔軟な姿勢を示した方が良い方向に物事が
進むといったケースは少なくありません
また老子は水の姿から
謙虚さを学ぶべきであるとし次のような
言葉を残しています大きな海が何百もの
河川の王者となりうるのはどの河川よりも
位置にいるからであるつまり
汚い川の水だろうとどんな川の水だろうと
分け隔てなく最も低い場所でへりくだって
受け止めている海の姿こそあるべき大国の
姿目指すべき統治者の姿ではないかと考え
たのですさらに老子だけではなく
孫子も水の姿や性質に着目し
軍の理想的なあり方を見出しています水に
は一定の形がありません
四角い容器に入れれば死角になり
丸い容器に入れれば丸くなるように
取り巻く環境に応じて
柔軟に姿を変えることができますこれと
同様に
軍の形も一定のパターンがなければ相手は
実体を掴むことができないため非常に攻め
にくく結果として防御力の高い組織を構築
することが可能となりますそれに加えて水
のように変幻自在な攻め方をすれば相手を
混乱させることができその隙をつくことで
勝利へのチャンスが生まれますつまり水の
思想は仕事やプライベートなど人生の
あらゆるシーンで応用が可能な書生の思想
でもあるのですその上で労使は水の脆弱な
性質を生命と関連付け
独自の死生観を次のように示しました人間
は生きている時には脆弱であるが
命が失われると
固く強張ってしまうだろう
草やきといったあらゆる自然物も同じだ
生きているうちは柔らかくてボロいが死ん
でしまうと枯れて硬くなるつまり
硬くて強いことは死の仲間であり
柔らかくて弱いことは性の仲間なのである
はいここから食べますあらゆる動植物は
生存中は水分を含んでいるため柔らかいが
死んでしまうと保水性が低下して硬直する
老酒はこのような自然界の現象に注目し
執着と強境を生としに対比させたわけです
ちなみに人間の体重に占める水分の割合は
大人は約60%赤ん坊は70%から80%
と言われていますそのため水の思想を先日
詰めると水分を多く含みさらに
余計な付着物がない赤ん坊こそ最も理想的
な人間に近いのではないかと思われますが
実はその通りであるというのが
老子の個体になりますつまり
柔らかく弱い存在でありながら誰からも
攻撃を受けず無視無欲でありながら生命力
が全身から溢れているそんな赤ん坊の姿
こそ道に即した
理想的な人間の姿だと考えたのですただ
赤ん坊のようにまっさらな状態で
ありのままに生きることが理想であると
すればそれは元々優れた才能が備わって
いる人には好都合でもそうではない人に
とっては不都合のようにも思えます特に
最近では生まれもった容姿や能力家庭環境
によって人生が決まるといった論調も強く
ありのまま自分を受け入れられない人も
多いと言われていますただ労使は
才能があることを単純に喜ばしいことだと
は考えていませんでしたなぜならトラや
ヒョウがその美しい毛皮のせいで
漁師に命を狙われるように
猿や猟犬がその
俊敏さや
賢さのせいで人にとらわれて自由を失う
ように生まれ持った才能がかえってその身
を苦しめることがあるからです実際に人間
社会を見回してみても
豊かな才能の持ち主が周囲から
嫉妬を買って潰されてしまったり誰からも
理解されずに孤立してしまうのはよく見
られる光景です世の中の常識
規範評価基準これらは見る角度や
タイミングによっては全くのデタラメで
あり人間の幸せを保証してくれる絶対的な
条件とは言えませんさらに言えば他人から
幸せだと思われる人生と自分が幸せだと
思える人生は全くのものですだとすれば
たった一つの物事や
基準に執着し
余計な見栄を張ったり
嫉妬をしたり
健康を犠牲にしてまで何かを手に入れよう
とすることに
果たしてどれほどの意味があるのだろうと
疑問が湧いてきますそれと同時にこれまで
の失敗や災難も今抱えている劣等感ももし
かしたら
捉え方次第で全てプラスに反転させられる
のではないかと
希望が見えてきます
老子の思想は
良くも悪くも
常識から外れているため現代人がそのまま
実践するのはなかなか難しいのかもしれ
ませんしかし彼が示したような水のように
柔軟な物事の捉え方はこの変化の激しい今
の時代にこそ有効な思考態度であると言え
ます今回の動画で
興味が湧いたという方は早速手に取ってみ
てはいかがでしょうかはいというわけで
老子
異常でございますいかがでしたでしょうか
この作品はそれほどボリュームはありませ
んが
内容は実に深遠で様々な解釈が可能となっ
ていますそのため今回の動画は
参考程度に留めていただきぜひご自身で
実際に読んでいただけたらと思いますまた
概要欄に本のリンクと関連動画を貼って
おきますのでよかったらチェックしてみて
くださいこの動画が面白かった参考になっ
たという方は高評価コメントなどいただけ
ますと嬉しいですまたチャンネル登録も
よろしくお願い致しますではまた次の動画
でお会いしましょうありがとうございまし
た
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